新設:2010-06-12
更新:2022-10-30
はじめに
- 伊藤長七は 昭和3年(1928)7月10日付で 『格言警句集』を誠文社から 世に送り出しており 2003年に ことわざ研究会編「ことわざ資料叢書 第2輯 第5巻」として
クレス出版から 複製本が刊行されている
- 世界の格言警句を 30の項目に分けた 500ページ近い本で ルビが施されている
- 目次項目に 旧府立五中の校是のうち 「開拓」と「立志」が含まれている 以下 序文と目次項目を紹介する
序
メソポタミアの平原に、黄河の岸に、ナイルの沃土に、文化の双葉を見せてから家国民人の興廃と、学芸の花の開落とそれ等が言葉の綾に織り成され、文章の家に組み立てられて、吾等の生活と一体となりたるもの之が歴史の実相である。
アダムより古けれども朝露の如く、若いと昔の人に形容せられたのは水である。その水の如く人類の祖先アダム、イブの語らひから始めて末の世の今に至るまでにふりにし言葉、新しき文辞、あるものは真珠の如く至純に、あるものは錦よりも絢爛である、或るものは鏗として金石の声を発し、又あるものは淙々たる清流の響を歌ふ。
言必ずしも長きを価値ありとせず、文辞必ずしも豊潤なるをよしとせず、片言に人の胸奥をうがち、一語肺腑に徹するもの之を拾ひ、之を味ひ得たる喜悦は真に醇醪の芳味にまさるものあるを思ふ。
言の美なるは末なり、其心のゆかしきを取る、論理の透徹せるを必ずしも取らず、情味の深長なるを選ぶ、という様な態度で、古今東西のものをあさる中、所謂格言警句と言はるるもの無慮幾千、哲人の玄妙に、名将の至言に、詩客文人のゆかしき情懐に、事業家の端的なる発表に、或は豪壮、或は繊細、或は精倒、或は奔放文化、幾千年の趾を慕うて更に吾等の心胸に培はんとする内心の求を慰し得べき少数を選択してこの集を編みました。
拾うて悉さざるは勿論、選んで精しからず分類も亦宜しきを得ざるものあるべきを編者自らも不満足に思うて居ります。この一篇を発程として今より更に集輯選考の努力を積まんといたし居る編者に対し、切に大方の御助言を仰ぎ度、この集の編輯に関し今弘助君・京谷周一君が終始一貫其周到なる注意を以て助力せられたるを感謝する次第であります。
昭和3年6月
京北染井の緑陰にて
寒 水 生 識
目次
衣 服
運動と娯楽
衛 生
家 庭
開 拓
勤 務
教 育
共 存
起臥進退
芸 術
言 語
経 済
国 際
社 交
光 陰
信 仰
自 然
商 事
自 治
読 書
品 性
兵 戦
勉 学
法 政
朋 友
容 儀
旅 行
立 志
恋 愛
労 働